「今できないことだとしても、やるべきことをやっていく」『挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained.』読書感想
2020/06/06
「挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained.」を読みました。
以下は、私の感想です。
本書の内容そのものでもありませんし、もちろん著者さんの意図もなにもないです。
ただの私の感想です。
目次
物理とサービスの選択
「アトムからビットへ」
ニコラス・ネグロポンテが1993年から98年の間でWiredMagazineのコラムで繰り返したらしい。
93年というと、自分は20歳。その頃にすでにそんなこと言ってたのですね。
その頃自分のまわりにあったのは、まだ、ポケベルぐらい。
数字の羅列の合言葉やロゴ合わせのようなメッセージや、進化してもカタカナが送れるだけだった。
まだまだ物理的なものがメインだったので、物理が情報に変わるなんてこの頃は想像できてなかった。
でも本書では、いいことばかりではない、ということもちゃんと書いてます。
物理が情報になると、完全な形ではなく、欠如される情報もある。
だからアナログのファンもいる。
でも、これはあくまでもファンなのだなとは思う。
その欠如される情報が目的に対して不要であれば、要らない情報となる。
もちろん趣という意味では必要かもしれない。
なので、ファン、なんだろう。
自分がファンだからそれを選択しているのか、目的に対して最適な選択肢だから選択しているのか、意識しないと、と思いました。
目的とゴール
LT、イグナイト、デモ、アンカンファレンス、オフィスアワー、スタンドアップミーティング、ノーミーティングデー、アドベントカレンダー。
この本では様々な、メソッドも紹介されています。
でも、忘れてはいけないのがタイトルでもある「挑まなければ、得られない」。
この本を読んで、やり方を字面で捉えて、「これうちの会社でもやって」でうまくいったりはしないんだろうなあ。
技術にしろ、メソッドにしろ、中身を理解せずに丸投げすることは多くあると思います。
目的に対してマッチするかどうか自分も一緒にみんなで試してみて、取り入れればいいと思います。
そうじゃないなら、決めるのは「目的」や「ゴールとしての成果目標」だけで、手段は担当者に一任するべき。
あとは、ガードレール的なセキュリティと、手段を実施するための権限委譲も必要です。
新しいものとの出会い
インターネット時代のネーミングは、ユニークネームを考慮するのは、本当にそうですね。
有名になって有用になれば、検索結果としても上位に表示されますが、はじめたばっかりのときはそうでもないです。
なので、ありふれた名前にしてしまうと、ファンもたどり着けないですし、自分もエゴサーチができません。
エゴサーチって世間のフィードバックを得る手段としてはすごく有効なんですけど、それもノイズに埋もれてしまいます。
私はこのブログとは別に自転車のブログをやってるのですが、始めた当初は「チャーリログ」って名前でやってました。
これは、固有性をもたせることで、まずは検索しやすくしようと思ったのですね。
そこそこアクセスが増えたり、特定の記事がいくつか検索上位に表示されはじめたタイミングで、名前をもう少し想像しやすい「チャリンコログ」に変えました。
今ではブログタイトルで検索するとだいたいは1位に表示されます。
同じ名前のブログはなさそうなので、ライバルは「チャリンコ」と「ログ」がついている名前のページなので、ちょっと持続すればできたことなのですが。
そう考えると一番いいサービス名は、今はない言葉で、覚えやすく、その内容が想像しやすい名前なのでしょうね。
そして、リコメンデーションは少しぐらい狂っているほうがいい、というのも確かに。
完全にパーソナライズされてしまうと、自分の趣味嗜好か、その延長にしか出会えない可能性があります。
リコメンデーションがいい具合に狂っていると、思ってもない出会いがあるかもしれません。
権利関係の話
DRMについては職業柄、興味を持たないといけないのですが、そもそもこの著作権というものにあまり興味がもてないです。
もちろん自分の著作権利が人のものになるのは嫌ですが。
でも自分が書いたものややったこと、音楽にしてもそうですが、それらが勝手に使われても、引用されようが、別にどうだっていいです。
本当のオリジナルなんてこの世には存在しない、というのが持論です。
すべてのものはパクリパクられて、ここまでたどり着いたと考えています。
なので、権利関係の話に興味が持てないのですね。
権利で少し思い出しましたが、youtubeの収益化、あれはいいですね。
勝手にBGMで使われてその動画で広告が表示されると、著作権を持っている人に広告費が入ります。
もちろん、著作権を持っている側が収益化いいよ、って設定して成り立つのですが。
変な動画に使われるかもしれませんが、オフィシャルじゃないなというのはみんな周知しているので別にいいですね。
お金と時間
ネットゲームで、そのために「時間」と「お金」のいずれかが必要なのであればそれに見合う価値を提供するべき、と言う話しがありました。
ここで思ったのは、「お金」は無限に使える可能性はありますが、「時間」はどこまでいっても有限ということです。
「時間」をうまく使うことでさらなる「お金」を生み出せるのであれば、「時間」を創出するために「お金」を使ったほうがいいという考えになります。
それを繰り返すことができればより効率的に利益をあげられるようになります。
その結果、「時間」の有効利用にたどり着けると考えます。
なので自己投資はありな方なのですが、大した額も使ってません。いや、ないから使えません。
パブリックなIT環境の脆弱性
インターネットカフェはそりゃあネットワークセキュリティは脆弱でしょう。
今後どうなるんでしょうね。ビジネスモデルとして。
でも、お一人様に特化しながら、除菌できる、とすれば、逆に衛生的なんじゃないかとも思えます。
換気バッチリ、除菌バッチリな、お一人様居酒屋ができれば、私は多分はしごします。
自炊について
「書籍の自炊」この言葉知らなかったです。
いいんじゃないですか。
自分で買った本をデジタル化して物理を捨てる。
それだけ作品を愛してるんですから。
そういいながらも私は、CDどころか、VHSも捨てられないのですが。
垂直から水平へ
従来新聞は自社の記者が取材した記事を自社で印刷して自社の販売店から家へ。
情報を垂直統合で提供していた。
Yahooのように、様々な所属の記者が様々なところで分散された記事をポータルサイトとして提供する水平分散。
Yahooの場合は自社で記事をピックしてるようですが、NewsPicksのように記事を集めるのも利用者にまかせてしまう完全にプラットフォーム提供なサービスも出てきましたね。
分散されて、転載転載となることで、新しい情報として読んだつもりが、タイトルが少し違うだけの別記事だったということもあったりしますね。
そして、記事は増えて情報爆発になる、普通にしてても読まれない、煽りタイトルになる、というのも自然な流れ。
そのせいでノイズが多すぎる、なので「ぐぐればわかりますやん」がそろそろ通じなくなってきました。
便利なはずの検索が、検索スキルや情報を精査するスキルが必要になってきました。
検索プラットフォームもそこはアルゴリズムで対応して、より便利にするように切磋琢磨はしてます。
SNSも昔は時系列でしかなかったタイムラインが、よりパーソナライズして、読み飛ばすような人の投稿はあまり表示しないように動いているように見えます。
行動がロギングされることで、より自分にとって使いやすくなるのであれば、どんどん私の行動ログを持っていってもらっていいです。
越境がもたらすもの
レイヤーを超えて問題解決しないと本当のソリューションは産まれない。
ほんとそうです。だから技術に固執してはいけないし、技術だけが解決策だというのは違います。
私の場合はデモや検証も兼ねてるので、自分が担当している技術ファーストでソリューションを進めます。
今年執筆したくて企画書を書いている本は、まさにこのあたりがテーマで、もちろんいつもどおり手を動かしてもらう前提ではあるのですが、様々なエコシステムを組み合わせた自動化を、IT経験ゼロの方々がやりはじめられるような本。
公私ともに、いろんな現場で狼煙が上がるお手伝いを目指しています。
体験しなければ得られない
本を読みながら妄想していたゲーム的ワークショップ。
例えば一人一人にマイクロサービスのかぶりものをしてもらって、役割を与える。
そして、「私は認証API。リクエストはこれとこれで内部処理をこうして、こんなレスポンスを返します。」
「私は商品検索。リクエストパラメータのこれを使ってパーソナライズされた検索結果を返します。満足度はこれとこれによって測ります。」みたいなワークショップ。
AWSだったら一人一人にアイコンのかぶりものをしてもらって、「私はDynamoDB。伸縮性に優れています。スループットキャパシティかオンデマンドで請求されます。世界中にレプリケーションできます。」とか、自己紹介をしてもらったり、チームになってシステム構築をしてもらう。
できるできないじゃなくて、やるやらない
やめることができないのはなぜか、それはやめることが面倒で、続けることが無難であるほかにならない。
ここで本書では「やめるかどうか」ではなく、「今ゼロからスタート」としたときに「それをやるかどうか」で判断する、と示していました。
すごく好きな考え方です。
常日頃から、「できるできない」で絶対に考えてはいけないと意識しています。
「やるべきかやらざるべきか」の思考を持つ訓練をここ10年ぐらいは意識的に続けてます。
でも30年ぐらい前から、「やりたくないことをなぜやらなければならないのか」と思ってましたし、
「同じ人間がやってることで、大して身体の作りが違うわけでもないから、本気になればだいたいのことはできる」と思ってました。
でも、そういう考えは違うと、学生の頃に押さえつけられて、諦めることを諭されてきました。
だから大人が嫌いでした。社会が嫌いでした。
今思うと、チャレンジしたこともない大人が自分の責任になるのが嫌で、無難な方向に物事をもっていこうとしていただけなんじゃないかと思っています。
ですが、本書の著者さんのように、イカした大人もいることをここ10年ぐらいで知りつつあります。
話が大きくずれましたが、「やるかやらないか」は人によって様々です。
本書では「ネズミ講みたいなのやめてしまえ」な論調もありますが、これは私はそうは思わないです。
私もネズミ講はやらないですが。
理由は、人を不幸にする可能性が高い、不幸な人が増える可能性が高い、法に反する可能性(グレーも含む)は減らしたほうが信頼は失わない。からです。
でもそれ以上の価値をそこに求める人が「やるべき」であってもおかしくはないと考えます。
今やっていることを、「ただやる」のではなく、「やるべき」という意味をもってやることが大切なんじゃないかと考えます。
そうしてやったことは、良くも悪くも未来に繋がります。
変化に繋がります。
これを「できるかできないか」で判断しているとどうなるでしょう。
理由が「できる」だけで「やる」ことは、きっと先には繋がりません。
そして、「できない」からやらなかった「やるべき」だったことをやらなかった時間は取り戻しようがありません。
なので、「やるかやらないか」その目的は何か。
そしてこの本のテーマでもありましたが、「挑まなければ得られない」。
今できないことだとしても、やるべきことをやらないと、何一つ得られないのだと改めて胸に刻みました。
最後までお読みいただきましてありがとうございました!
「AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル 改訂第2版」という本を書きました。
「AWS認定資格試験テキスト AWS認定クラウドプラクティショナー 改訂第3版」という本を書きました。
「ポケットスタディ AWS認定 デベロッパーアソシエイト [DVA-C02対応] 」という本を書きました。
「要点整理から攻略するAWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト」という本を書きました。
「AWSではじめるLinux入門ガイド」という本を書きました。
開発ベンダー5年、ユーザ企業システム部門通算9年、ITインストラクター5年目でプロトタイプビルダーもやりだしたSoftware Engineerです。
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